2015年11月16日月曜日

【報告】 第2回おんぶシンポジウム~おんぶでみえる親子の世界~

11月3日(火)文化の日。
日本に古くから伝わる文化、「おんぶ」を考え、語り、体験する、

『おんぶシンポジウム~おんぶで見える親子の世界~』を開催いたしました。

三人のシンポジストが、
歴史からひも解く研究者として」
「世代の橋渡しをする先輩ママとして」
「今まさにおんぶする現役ママとして」
それぞれの角度から、おんぶの効用や、
おんぶを今の世代にも活用してもらいたい理由を伝えてくださいました。

Umiのいえ代表、シンポジウム座長齋藤麻紀子の挨拶に続き、
シンポジストお一人目は、園田正世さんです。

園田さんは、 だっことおんぶの専門店「北極しろくま堂」を創業、
NPO法人だっことおんぶの研究所の所長をしながら、
東京大学大学院学際情報学府で抱っことおんぶの研究をされています。

テーマは、「日本人の身体・子育・文化」
古き絵巻や写真の数々から、
日本人は昔からおんぶをしてきたことをご紹介くださいました。

おんぶ紐は80年ほど前に商品化されたもので、
もともとは着物の帯(兵児帯や角帯など)、
身近にあったものを流用してきたそうです。
着物の中に赤ちゃんをおぶってその上から帯を締めたりしていました。
もちろん一本の紐でもおぶえます。

“日本人は道具に自分に合わせていくのではなく、
道具を自分に合うように使いこなす文化の民族である”
と解説。
既製品の型に、赤ちゃんや自分をはめるのではなく、
赤ちゃんと自分の身体がフィットするように、
自らが工夫して着こなしていくことが
「暮らしの工夫」「子育ての知恵」に繋がるのですね。
ここで育まれるセンスは、その先、
いざとなったときに応用していくことができます。
また、昔ながらのおんぶは、背負われる位置が高く、
こどもは親の肩越しに前を見ることができます。
同じ方向をみる「共視」は、
人との挨拶や炊事支度などを見ることができ、
肩越しに対話もでき、物事を教えることができます。

母親の日常の仕事を、背負われながらも
あたかも自分もしているかのように、体感を積み重ねていくのです。
また、背負われて育った子は、
しがみつく力が育ち、抱かれやすい「体幹」も備わっていくこと
スライドでご紹介いただきました。

抱っことおんぶの世界事情、歴史、身体と心の発達など、
大学院で研究を積み重ねている園田さんのお話に、一同興味深々、
もっと聴きたいとの声、続出でした!


★続きましてお二人目は棒田 明子さんです。

棒田さんは、NPO法人孫育て・ニッポン理事長、
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事をされています。

テーマは、「母から子へ、祖父母から孫へ 背中と手がつないだもの」
今の60代以降の方のおんぶのお話、震災の時のお話も交えながら、
ご自身の経験をたくさんのお写真付きでお話くださいました。

自らがおぶわれれていた時代に想いを馳せ、
幼少期の写真を一枚一枚めくるようにお話しくださいました。
棒田さんのご両親は共働き。
よっておんぶしてくれたのは、主にお婆様でした。

「私がおばあちゃんに背負われるときは、おばあちゃんに仕事があるときでした。
私は背中越しに、家事、畑仕事、庭いじりを、いつも見ていたんだと思います。

菊を育てていたおばあちゃんが近所のおばさんに
”大輪の菊の花を咲かせるために蕾をとることを教えたこともないのに、この子はできる”と
話していたことがあったとか。

おぶわれていながら、祖母がやっている仕事を自分もやっているように見ている。
同じ方向から見てたほうが学びやすい、真似しやすいんですよね。」 

そして、おんぶしながら、
空や木々を指差しては、歩く風景のあれこれを教えてくださったそうです。

背中で観た高くて広い風景が目に浮かびます。

そして、大きくなり、ちょこまかと動き出すと、 
目は地に這うように面白いものを見つけていく。
草花に石に虫に。

お婆様はいつも、
かがんで孫の目の高さにおりて、お話してくださったそうです。

高い世界も、低い世界も、
おばあちゃんが共にいて、広げてくれた視野。

もちろん、おんぶでしがみつく力も養ったから、
木登りも得意だったとのこと。

おぶわれながらお婆様に養われてきた眼差しは、
今も棒田さんの仕事に活かされているなあと感じ入りました。

そして、最後に、被災地でのお話。
おんぶができれば、逃げやすいこと。
ご近所の方々と日頃から繋がれていた子どもは、いざとなった時に救われること
など実際のお話もしてくださいました。

お婆様は体格のいいぷっくりした幼子(棒田さん)を
日々おんぶされていたとのことです。
足腰が丈夫なお婆様だったことが伺えますね。



最後は佐藤 亜衣です。

Umiのいえスタッフ、ベビーウェアリングコンシェルジュであり、
6歳男子・3歳女子・0歳女子の母です。

おんぶ子育て現役として、日々の奮闘ぶりをお話してくれました。
客席から共感の声も多く聞こえましたね。
テーマは、「私をお母さんにしてくれたおんぶ」。
断乳の時も、つわりの時も、お腹が大きくなってる時も、
おんぶで上の子を慰めたとのこと。

2人目が生まれたばかりの時は、
下の子は抱っこ。お兄ちゃんをおんぶ。

下の子の首が座ればおんぶをして、上の子と手をつなぎ、
公園にも買い物にも行くことができました。

3人のきょうだい、どの子の肌にもしっかり触れて育てるには、
胸も背中も、手も足も、フル活用しないと間に合いませんね。

そんな中でふと一人になれている気がするのは、おんぶの時でした。
視界に子供がいないだけで目の前が開けて、こんなに楽!
こどもと一緒にいながらも視界に入らない、仮だけど自分だけの時間です。

おんぶをすれば、仕事もすすむし、趣味もできる。踊ることだってできる。

一人の世界が欲しかったけど、
子どもと一緒にいながら自分のしたいことを実現できたことは衝撃でした。

お母さんになると自分でいる事ををあきらめなきゃいけないと思ってた。
だから子どもと離れて、何かすることばかり考えていました。

だけど、おんぶをすれば一緒にできる。
子供が一緒でも好きな事ができる。
一緒にいるためにおんぶをしました。

私がなりたいのは、キラキラママになることじゃない。
お母さんになるって、きちんとこどもを背負って
一緒に過ごすことなんだって思います。

子育ては、つらい場面がたくさんあります。
その時をしっかり受け止めてきた経験とそこからくる言葉が
ぐっとみなさんの心に届きました。



シンポジウムの最後に、
おんぶの写真を集めたスライドショーを上映しました。
お写真を提供してくださった皆さま、ありがとうございました。

見ながら涙される方もいらっしゃいました。
多くの方に見ていただけるように、現在調整中ですので、少々お待ちください。

そしてシンポジウム終了後、おんぶ体験会を開催。

初めは難しく感じるおんぶ。
それでも練習すれば必ずできるようになります。

今日はたくさんの方に一本紐のおんぶのフィット感、心地よさ、
高い位置のおんぶの違いも感じて頂きました。













皆さまからの感想の一部をご紹介いたします。
・おんぶの歴史や、赤ちゃんの体のお話も聞けてよかったです。
 やっぱりおんぶを伝えていきたいと心がわくわくしました!

・おんぶした子のほうも、おぶいやすいように協力するということもすごいと思います。
 たしかに、自分も昔おんぶされていたときは、自分から掴まっていたことを思い出しました。

・なんてマニアックな世界(笑)!すごくおもしろかったです。

・最後のスライドは涙・涙…。赤ちゃん時代って、本当に短かったなあ。
 がんばってきたな~と思い返すその記憶に必ずスリングがある。
 あの布は宝物だなって思いました。

・おんぶで子どもと同じ目線で物事を見る、ということを考えたことがなかったです。
 おんぶができる月齢になったら、たくさんしてあげようと思います。

・私はまだ子供を産んでいませんが、おんぶ一つにしても、
 背景となる考え方があり、子どもの成長を手助けする仕組みがあることを初めて知りました。
 布一つで、抱っこ、おんぶと聞くと不安でしたが、実践してみたら意外と身体にフィットして、
 また子どもの大きさに合わせて調整できたので、使いやすいものだと知りました。
 出産前に、おんぶの大切さを知る事ができ、良かったです。

・10kgを超え、重くて腰に激痛が走り、
 へこおびのおんぶの仕方を教えてもらおうと今日参加しました。
 面で支える方法を教えてもらい、腰もラクになりそうです。

・今日はおんぶの世界観にどっぷりつかり幸せな気持ちになりました。
 幼い頃、母親や祖母におんぶされたことを思い出しました。
 子どもと一緒の世界を、一緒に体験できるおんぶ。広がっていったらいいな
・肌から伝える愛。おんぶについて、たくさんの言の葉をいただきました。
 地域の母たちのつながりのなかで、緩やかに伝えていこうと思います。

・抱っこの基本とひもを使っての抱っこやおんぶの方法を学ぶことができました。
 正しい 方法をお母さん方に伝えられたらと思います!

・感動があふれていました。「おんぶ」という文化のある国で母となったからこそ、
 もっとおんぶを楽しみたいし、広めたい。我が子は四歳。
 おんぶをしっかりしたかは何とも言えないけど、だからこそ、今まさに現役の方に伝えます。

・園田さんの中身の濃いお話、もっと聞きたいです
 棒田さんのご自身の体験からのお話、説得力ありました。
 佐藤さんの経験からの生の言葉、納得です。

・普段おんぶをしているけれど、「おんぶの話」を聴けるのがとても楽しかったです。
 スライドショーでは泣きました。「おんぶ」という姿に子育てがつまっているのです。
 帯一本と赤ちゃんだった息子をながめ、首をかしげた 私を思い出しました。
 少しは母になれているなと誇りすら感じました。とてもあたたかい時間をありがとうございました。

・子育ては色々と悩み、二人とも苦しくなる事がありましたが、
 今日の学びで子育てが楽しくなりそうです。

・スライドショー泣けました。娘がおんぶで育ったと記憶に残ってもらえるくらい、
 おんぶを日々の生活に当たり前のように取り入れて、
 育てていきたいと改めて思いました。楽しみです!

・今、一人目を妊娠中で9か月です。いよいよ子育てが始まると思 うと
 不安がいっぱいありますが、今日たくさんのママたちと一緒に受講できて、
 良かったです。おんぶの子育て、やってみたいと思います!
 これからが少し楽しみになりました。

<実行委員長 夏井英子より>
動きたくておんぶを嫌がっていた、私の娘。
でもお人形をおんぶするのは好きで毎日の日課です。

そして2歳が近付き、またおんぶをさせてくれるようになってきました。

おんぶしたい時期、嫌な時期もあります。
その成長や変化も感じていきたいですね。

最近は私がかがんでいると背中に乗ってきて、自分でしがみついてくれます。
こうした姿を見ると嬉しくなりますね。

私は、父の背中におぶわれた記憶があります。
歩きたくなくて寝た振りをしておんぶしてもらったのですが、
今思えば、寝た振りもばれていたかもしれませんね。

それでも、おんぶしてくれた父の思いが嬉しくて、
そしてその思い出が残っていることがとても幸せです。

おんぶの思い出、自分の子どもに残してあげたいですね。

おんぶシンポジウム~おんぶでみえる親子の世界~
皆さまのおかげで無事に終了いたしました。

ご参加くださった皆さま、ご協力いただいた皆様、
ありがとうございました!

実行委員長
夏井英子

(写真:加田務)

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