2017年8月6日日曜日

7/23 白井先生の連続講座【親になる】「不妊」「里親と養子縁組」「妊娠に悩む妊婦さんの支援」「里親・養親さんのお話会」




7/23(日)静岡大学の白井千晶先生による連続講座【親になる】「不妊」「里親と養子縁組」「妊娠に悩む妊婦さんの支援」「里親・養親さんのお話会」に参加しました、一参加者の西岡妙子です。

全く知識がなく、興味関心のみで参加しましたが、聴き終わった今、老若男女、すべての人に知ってもらいたい話だと感じています。

「不妊」では、不妊治療の現状について。成功率のあまりの低さ、そしてかかる費用の高さ、さらには、それを経て子を持った方々の複雑な想いに触れ、胸が塞がれるようで苦しくなりました。「技術進化によってできることが増えたために、どこまで選ぶのかが一人一人に問われている」という先生の言葉が心に残っています。

続いて、妊娠に悩む妊婦さんのお話。主に若年妊娠のケースでした。こちらは、思いがけず妊娠したものの、育てられないという女性の問題です。「妊娠=産んで育てる」という枠組みには当てはまらず、どうしたらいいか分からず困っている若い妊婦さんたちのフォローが全くできていないという現状についてお話いただきました。

乳児虐待死の2割が出産当日に行われていること、女子少年の重大事犯の約4割が、「嬰児殺」だそうです。悩んで困って、自分一人で産み落とし、その子を捨ててしまい、そして犯罪者となる若い女性たち。赤ちゃんの命はもちろん、母である彼女たちの「ひとりぼっち」を思い、会場からもすすり泣く声が聞こえていました。

育てられない子供の選択肢の1つとして、乳児院の存在と現状、子供の育ちに必要な環境の話、そして、特別養子縁組の話に繋がっていきます。

ここまでの2時限で、数回出てきたキーワードの1つが「規範」。

結婚したら妊娠、出産、育児をしなければならない、子を持つなら血が繋がっていなければならない、結婚前に妊娠してはならない、妊娠したら学生はやめなければならない、

たくさんの規範を、私たちは無自覚のうちに抱えていること。それが社会の息苦しさを作っていること。ひとつひとつの規範に、「どうして?」という自問すると、根拠のない思い込みばかりであることに気付きます。

3時間目は、里親と養子縁組の仕組みのお話。法制度、現状、問題点等を伺いつつ、4時間目は、里親さん、養親さんの当事者の体験談を伺いました。

養親さんのお話では、ママは怖くてパパはいいとこ取りだとか、養子であるお子さんを叱ったときに「違うママがよかった!」と言われた話など、実子を育てている家庭と何も変わらない、微笑ましい日常の様子に、「あるある!」と参加者もつぶやきます。

この養親さんは、「不妊治療を十分にがんばっていない、やりきっていないのに養子を迎えていいのだろうか」と悩まれたこともあるそうです。それは、彼女だけではなく、不妊治療を受けている多くの女性が感じているとのこと。そんな苦しい悩みを抱えていること、当事者でなければ思いもしないような切実な気持ちに触れて、心から切なくなりました。

逡巡を経て、養子であるお子さんを迎えた彼女の「どんなことがあっても育てるという覚悟を持って、その子を受け入れること」という言葉。それは、妊娠出産を経て子育てに入る女性にとっても、深く共感できるのでものでしょう。生後数ヶ月でおうちにきた男の子は、8歳になるそうです。

続いて、2人の実子とともに里子を育てているという、里親さんのお話。困っている子供がいるのだから、できることをしようというシンプルな意志から動き出されたとのこと、数々の苦労を乗り越えたお話も非常にシンプルで、まっすぐ伝わってきました。

すべての子供は、実子であれ他人が生んだ子であれ、預かりものであること。「里子をと実子は同じように愛せますか?」という質問に対して、「子供は実子であっても一人一人違うので、当然里子と実子は同じ愛情ではありません。里子の子が里親の私に求めていることをくみ取り、応えるようにしています」と、経験者ならではの重みのある明快な答えがありました。

幸せでない日々を送ってきた子供が、家庭的な安全な場に馴染んで安心してその子自身に戻れるまで、かなりの時間を要するそうです。親は一人で抱え込まず、保育園や学校その他と連携を取り、いろんな人の手を借りて、チームで子育てをすることが大切だとおっしゃっていました。

行政の仕組みには大いに問題がありますが、そんな状況下でも、困っている子どもたちに対して私たちにできることがあり、それを実践している方がいらっしゃいます。

私自身はまだ具体的に動けるよう状況にはないのですが、この社会の閉塞感を作る「規範意識」を1つ1つ丁寧になくしていきたい、そしてそれはすぐにできることだと、心に刻みました。

白井先生、体験を話してくださった養親さん、里親さん、ありがとうございました。

一日がかりの講座だったので、長文になってしまいました。ここまで読んでくださった方にも、感謝を申し上げます。

次回は10月14日(土)、ゲストスピーカーで、養子に託した生みの母(バースマザー)をお招きしています。ぜひお運びください。

<ご興味のある方に>
一般社団法人 全国養子縁組団体協議会


白井千晶(2017)「日本における妊娠葛藤・養育困難相談および養子縁組支援の現状と制度設計に関する研究」報告書
妊娠に悩む相談や、アメリカ、韓国の先駆的な試みが読める。
クリッテントン高校(下記参照)のレポートも日本語で読めます。


アメリカ コロラド州ボルダーにある
フローレンス・クリッテントン高校(英語)
中3〜21歳までの妊婦・母親のための公立の女子高校。ティーンズの母親が、健やかな家庭を築けるような教育を行なっている。ケアが行き届いた託児所が併設、美術等芸術科目が生徒の心をケアするセラピーを兼ね、授業中でも授乳で呼ばれるなど、生徒の学習生活を支援し、将来の自立を促すプログラムが多数用意されている。




次回は10月14日


10/14(土)白井千晶さんの連続講座【親になる】
①「不妊」
「妊娠に悩む妊婦さんの支援」
「里親と養子縁組」
④「バースマザーさんのお話会」

とにかく事情を知ることが大切。
各国との違い、現場で何が起きているのかを知ると、これまで思っていたイメージや考えに風が吹くのです。いのちの産み育ての闇、理不尽なこと、賢明なこと、悲しみ、痛み、そして希望。


4つ目の「バースマザーのお話会 ~子どもを養親に託す想いとその現実~」
産んでも育てられないと妊娠・出産・育児に悩む女性は少なくありません。
日本では年間400~500件の特別養子縁組があります。
子どもの幸せと人生を引き受ける養親の数と同じだけ、養親に子どもを託すバース・マザー(生母)がいます。関わる人たちの隙間にこぼれ落ちていく彼女たちの本当の気持ちをお聴きする貴重な会です。


詳細・申し込み:https://coubic.com/uminoie/234234

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